「そんなの、友達って言わないよ」
「はぁ?」
「友達っていうのは、嫌なことを強要したり、自分の思い通りに動かすもんじゃない。困った時に助けたり助けられたりしながら、時には一緒に笑ったり泣いたりして、同じ時間を楽しく過ごす存在のはずでしょ? 今の優里は嫌がる相手に無理やり押しつけてるだけで、それは単なる嫌がらせでしかないよ。そんなの友達って言わないと思う」
自分でもビックリするほど、すんなりと言葉が出た。
優里の目をまっすぐに見つめる。
「友達のいない人形がえらそうに理想論語ってんじゃねーよ。あんたになにがわかるわけ? えらそうなことが言えるほど、さぞかし友達が多いってこと? ありえないよね、人形のくせに」
眉を吊り上げてイライラしたような口調。
どうやら完全に怒らせてしまったらしい。
攻撃的な目を向けられて、思わず怯みそうになる。
だけどここで逃げちゃいけない。
「多く、ないよ。それに、えらそうなことを言える立場でもない。わたしも過去に人を傷つけたことがある……その時、心が張り裂けそうなくらい苦しかった。なんてことをしたんだろうって、あとになってすごく後悔したんだ。少なくともそんな関係は友達でもなんでもなくて、ただ一方的にわたしが傷つけただけ……」
そこには友情なんてものはひとかけらもない。



