「わたし、今までふたりの顔色ばっかり気にしてきたけど、それじゃダメだってわかった。やっていいことと悪いことは、わたしの意思で決める。だから、こんなことはもうやめて」
聞き入れてもらえるほうが奇跡なんだと思う。
優里とは、考え方が根本的にちがうということに気づいた。
美鈴はどうかわからないけど、優里はただ、楽しむためにやっている。
誰かを攻撃することで憂さ晴らしをしているんだ。
「マジうっざ。なにさまなのっ!?」
「ただ思ったことを言ってるだけだよ。こんなことは、もう終わりにしたい」
「前から思ってたんだけど、琉羽って自分は無関係ですっていう顔しながら、高見の見物してたよね。今までなんにも言わなかったのに、今さら正義感振りかざしてなに言ってんの。似合わないんだけど」
「そうだよ、澄ました顔して、全部見透かしたような目で、あたしたちのことをバカにしてたでしょ。バレバレだっつーの」
「ち、ちがう……そんなつもりじゃ」
やっぱりわかってもらえないのかな。
「まぁどうでもいいけどさ、菜月が来ないならターゲットは琉羽だね。美鈴、これ」
優里がスカートのポケットから茶色の小瓶を取り出す。
美鈴はニヤニヤしながら「なになに?」と楽しげだ。



