黒髪に黒縁メガネ姿のお兄ちゃんは有名な医学部にトップ合格を果たし、今も学生生活を送っている。
勉強はできるけどオタクっぽくはなく、どちらかというと爽やか系。
中学生の時は女子にモテたらしく、バレンタインや誕生日なんかには家に押しかけて来た女の子もいたほどだ。
なにをしても器用なお兄ちゃん。
もし今わたしの立場なら、お兄ちゃんはどうしたかな。
きっとわたしがしない選択をして、問題解決に導く。
わたしみたいに見て見ぬフリなんか絶対にしないよね。
そんなところから、もうちがう。根本的にちがう。
わたしはいつから、こんなふうになっちゃったのかな。
家族での朝の食卓には会話は一切なく、ニュース番組のアナウンサーのはつらつとした声だけが聞こえてくる。
緊張しながらお箸を口に運ぶけど、食欲はあまりない。
今日学校で起こることが気になって仕方なかった。