「はぁはぁ……く、くるしっ」
全身が焼けるように熱くて身体中が火照る。
目の前が闇に覆われてなにも見えない。
あれは、夢……?
夢だったの?
でも、やけに胸が苦しくて。叫び出したいのを我慢している。
「はぁはぁ……」
きっとこんなに苦しいのは、熱にうなされているからだ。
「おい、おいっ。大丈夫か?」
次第に意識が戻ってきて、わたしはゆっくり薄目を開けた。
目の前がかすんでいる。それに頭もボーッとする。身体が鉛のように重ダルい。
「目ぇ覚めたか? おまえ、ずっとうなされてたんだぞ」
心底ホッとしたような慎太郎の顔が、ぼんやりと輪郭を持ち始める。
モヤモヤが薄れていくと、心配そうに眉を下げてわたしを見つめる慎太郎がそこにいた。
「平気か? 今先生呼んで来るから」
「な、んで……」
どうして、笑いかけてくれるの?
わたし、過去に取り返しのつかないことをしちゃったんだよ?
慎太郎に幻滅されたんだよ。
それなのに……。
目頭が熱くなって、不意に涙が流れた。
身体中の水分が全部目に集まっているんじゃないかと思うほど、次から次へとこぼれ落ちる。
それは目の横を通って耳に伝い、枕を濡らしていく。
「お、おまえ、なに泣いてんだよっ」
「な、泣いて……ないっ」
「はぁ? 泣いてんだろ? どんだけ強がりなんだよ。あーもう!」
戸惑うように揺れる慎太郎の黒目。
髪の毛をガーッとかきむしりながら、お手上げだとでもいうような表情を浮かべている。
「うぅ……っ」
「おまえ、そんなに身体がツラいのか? 泣くくらい、疲れてるんだろ?」
「ち、がう」
「じゃあ、なんだよ?」
「な、なんでも、ないんだってば……」
そう言って頭から布団をかぶった。
勢いがよすぎたのか、ベッドのスプリングがギッと軋んだ。



