中学二年生のあの日以来、慎太郎のことを徹底的に避け続け、気づくといつの間にか話すことはなくなっていた。
遠くに慎太郎の姿を見つけると、逃げて、隠れて、視界に入らないように、見つからないように必死だった。
中学三年生の時、同じクラスで一度だけ隣の席になったことがある。
そこで一度だけ話しかけられた。
朝からチラチラと様子をうかがうような眼差し。
その視線に気づいていながらも、わたしは知らないフリをしてやり過ごした。
『中二の時、もしかして、俺らの話聞いてた?』
昼休みに入って唐突に投げかけられた質問は、わたしの心を激しく揺さぶった。慎太郎はまちがいなくあの日のことを言っている。
『なに、それ? 知らないよ』
『あれはさぁ』
『話しかけないでって言ってるじゃん……! もう……関わりたくないんだよっ』
今さら言い訳なんて聞きたくない。
なにを言われようと、あの日の言葉が慎太郎の本心でしょ?それだけは変わらない事実だ。
これ以上、わたしを苦しめないで。
お願いだから、そっとしておいてよ。
『俺、そこまで嫌われてたんだな……ごめん。もう話しかけないから』
やけに暗くてしょんぼりしたような声だった。
その言葉を最後に、慎太郎がわたしに声をかけてくることは二度となかった。
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