もしも明日があるのなら、君に好きだと伝えたかった。


『井川くんと付き合ってるの?』

わたしと慎太郎が仲良く話すところを見ていたクラスの女子が、そんなことを聞いてきた。

『や、やだ! まさか! ありえないよ!』

だってわたしと慎太郎じゃ、あまりにも住む世界がちがいすぎる。

慎太郎の世界を壊しちゃいけない。わたしが踏み入ってはいけない。慎太郎は雲の上のような人。わたしなんかとは対等じゃないの。

『でも、仲いいよね? 友達なの?』
『そんな……友達だなんて! そんなふうに思ったことは、一度もないよ』

いつだって慎太郎はわたしの救世主で、カッコいい存在だった。友達と呼ぶなんておこがましい。図々しい。だから全力で否定した。