もしも明日があるのなら、君に好きだと伝えたかった。


『井川くんって、やばいよね。すごくカッコいい!』
『彼女になりたーい!』
『ムリムリ。どんなにかわいい子が告っても、バスケに集中したいからって振られるんだもん』
『望み薄いよね。限りなくゼロに近いんじゃない?』
『でも、すっごーく優しいんだよ。それも押しつけがましくなく、さり気なく優しいの。笑顔もカッコかわいいしさぁ』
『言えてるー! 誰にでも優しいもんね』

クラスが離れていても慎太郎のことは耳に入ってくる。

知らない子が慎太郎の話をしているのを聞いて、その背中がどんどん遠くなっていくような気がした。

もうわたしだけが知ってる慎太郎じゃないんだ。

そんなことを考えたらどうしようもなく寂しくて、やるせなくなる。

大きくて広い世界に飛び出して行こうとしてる慎太郎と、ひとりポツンと取り残されているわたし。