『琉羽はバスケ部に入らなかったんだな』
ちょっと大人びた慎太郎が小さく笑った。
寂しそうな笑顔。色素の薄い慎太郎のブロンドの髪がフワッと風になびいた。
『あ、うん……』
『そっかー、好きだと思ったのに。他にやりたいことでもあった?』
『ううん……そういうわけじゃないよ』
慎太郎はバスケ部に入って部活一筋で頑張っている。本当はわたしもバスケ部に入りたかったけど、お母さんにそれを言えなかった。
言うと真っ向から反対されそうな気がしたから。
そんなことより、勉強しろって言われそうだったから。
中学一年生の終わり頃、慎太郎の高かった声が低くなって、身長がぐんぐん伸び出した。
喉仏も出っ張り、腕や胸に筋肉がつき始めてすごく男らしくなった。
肩幅も広くて、がっしりしていてとても丈夫。
全体的にスタイリッシュで小顔だから、スタイルがすごくいい。
見かけるたびにどんどんカッコよくなっていて、それと同時に慎太郎はすごくモテるようになった。
容姿端麗、成績優秀、それに加えてバスケもすごくうまくて、性格も良し。
おまけに友達も多くて、クラスの人気者。
そんなパーフェクトな人が本当にいるの?と疑いたくなるほどの模範回答のような人物が慎太郎だった。
クールでツンとしたところもあるけど、イタズラ精神旺盛な子どもっぽい一面もあったりして、慎太郎はいつも女子から注目の的だった。



