もしも明日があるのなら、君に好きだと伝えたかった。


人間の言葉がわかるわけないし、猫は気まぐれだっていうから、もうそこにはいないかもしれない。
でもわたしはなにかに突き動かされるようにして、一目散に公園へと戻ったんだ。

すると驚くことにそこにはさっきまでの猫がいて、わたしが戻って来るタイミングを見計らってそっと立ち上がった。

『待ってて、くれたの……?』
『ニャア』

まるで濁音でもつきそうなほど、低くて太いダミ声。ちゃんと返事をしてくれたように聞こえた。

『手当てしてあげるね。触っても、いいかな?』
『ニャア』

いいって、ことかな?

恐る恐る猫に近づいた。猫は逃げることもなく、すんなりとわたしを受け入れてくれているように見える。警戒心が強いというけど、触られることを嫌がるでもなく、大人しくわたしに手当てされている。

肌触りがいいフワフワの毛が、とても気持ちよかった。

それに温かい。動物の体温って、なんでこんなにホッとするのかな。

『よしっ、これで大丈夫。化膿止めも塗ったし、包帯も巻いたし。わたしのお父さんとお母さんね、お医者さんだから包帯の巻き方とか薬の塗り方とか教えてくれるの。だから、怪我した時はいつでもわたしを頼ってね』
『ヴー、ニャア』

人間の言葉がわかるのかな。どこかの飼い猫だから、人慣れしてるの?スックと立ち上がり、猫はこの場を立ち去る。

『バ、バイバイ、猫ちゃん! また会おうね!』

返事はしてくれなかったけど、わたしはそんな猫の後ろ姿を見えなくなるまで見つめていた。

『ルウ? なにしてんの?』
『え? あ、シンタロー』

後ろから現れた彼にビックリして目を見開く。慎太郎はキョトン顔。

『猫ちゃんがね、怪我して血が出てたから手当てしてたの。わたしって、いつもシンタローに手当てしてもらってるでしょ? だから恩返しみたいなものだよ』
『ははっ、ルウらしいな』

そう言ってニッコリ笑う慎太郎。

その笑顔にドキッとして、真冬だというのになぜだか身体中に熱が注がれたように熱かった。

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