誰からも必要とされてないんだから、いなくなったところできっと誰も悲しまない。そう考えたら泣けてくるけど、わりきってしまえばどうってことない。
『早く天国でもどこでも連れてってよ』
本音を言えば、やっぱり少し怖いし不安だ。だってこんなに意識がはっきりあるとは思わなかった。
死んだあとって、無になるんじゃないの?
わたしがわたしじゃなくなるんじゃないの?
でも今のわたしはまちがいなく今までのわたしで、実体はなくてもたしかに今ここに存在している。
『死んだら楽になれるとでも思っているのか?』
『え?』
核心を突かれた質問にドキリとする。
それはまるで、わたしの考えがまちがっているとでも言いたげだ。語尾がキツくなったのも、気のせいではないのかもしれない。
『この先も、おまえさんはおまえさんのままだ。なにも変わることはない。他の誰になれるわけでもない。ずっとこのまま、この世界でさまよい続けるだけだ』
え?
ずっと、このまま……この世界で、さまよい続ける?