小学五年生の時、また同じクラスになった。
一年生の時は小さくて細かった慎太郎も、五年生になると身長が伸びて、いつの間にか追い抜かれていた。
肩幅もしっかりして、体格もよくなった。
それは多分、バスケをしているおかげでもあったんだと思う。
小さくてかわいかった慎太郎は、もうどこにもいない。
その代わりに、大きくなって男らしく成長した慎太郎がいた。
昼休みのたびにわたしもクラスの男子や女子とバスケをしたり、外でドッジボールをしたり、男女関係なく仲がよかったうちのクラスは、わたしを含め、教室にいるよりも外ではしゃぐほうが好きだった。
毎日が楽しくて、笑っていたような気がする。
そんなある日の放課後、通学路の途中の公園で一匹の野良猫を見かけた。
茶色と白の模様がまだらになった毛並みの整った猫で、体が大きいからもう大人だろうか。
わたしはなんだか目が離せなくなって、その猫に近づいたんだ。
人慣れしているのか、猫は逃げ出す素振りもなく、じっと立ち止まってまん丸な目でわたしを見てる。
澄んだ茶色の瞳がとても綺麗で、しばらく見つめ合っていると、猫は途端にわたしに興味をなくしたのか、プイと前を見てヒョコヒョコと足を引きずりながら歩いていった。
『待って! 猫ちゃん、怪我してるの……?』
返事なんてくるわけがないのに、思わず声をかけてしまった。
猫はわたしの声に再び足を止めてわたしを見る。
『血が、出てるよ。わたしもね、よく怪我するんだ。その度にシンタローがね、手当てしてくれるの。あ、ちょっと待っててね!』
ダッシュで家に帰り、クローゼットの中にしまってあった救急セットを取り出す。
その中から消毒液や包帯、化膿止めの軟膏、ガーゼやテープを出して手提げカバンに詰めた。
救急セットの中身が床一面に散らかる中、ランドセルをその場に放置し、駆け出す。
こんなのお母さんが見たら激怒するだろうけど、買い物にでも行ったのかな。家にいなかった。



