もしも明日があるのなら、君に好きだと伝えたかった。


『大丈夫か?』

走り寄ってくる足音と共に降ってきた優しい声。

『え……?』

恐る恐る顔を上げたわたしの目に、汗だくの慎太郎の顔が映った。

『わ、鼻血出てんじゃん』

そう言ってわたしのそばにしゃがみこみ、体操服のお腹の部分でわたしの顔をゴシゴシとこすった。

『うぷっ』
『我慢して』

体操服についた血を見た瞬間、口の中に鉄の味がした。慎太郎の体操服からは柔軟剤のいい匂いがする。

『シ、シンタロー、体操服が汚れるよ。それに、リレー……せっかくトップだったのに』

思いの外たくさん血が出てしまい、体操服が赤く染まっていく。

それを見て申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

それに……わざわざ戻ってきてくれたの?

わたしのために?どうして……?

『いいんだよ。それより、自分の心配しろよな』

慎太郎はわたしの手を引っ張り、立ち上がらせてくれた。

心配した先生が駆け寄ってきたけど、わたしと慎太郎はふたりで最後まで走り切った。

ふたりでビリになったけど、人一倍負けず嫌いな慎太郎は悔しがることなく笑っていて。

わたしはますます申し訳なさでいっぱいになった。でも、それ以上に嬉しかった。きっとあの時、慎太郎が来てくれなかったらわたしは最後まで走れなかったと思う。

だからね、嬉しかったんだ。