*゜*・。.。・*゜*・。.。・*゜*・。.*゜*・
『ドーン、時限爆弾でーす!』
後ろからランドセルを思いっきり押されて、前のめりに転んだ。ドタバタと走ってくるたくさんの足音。
『バーカバーカ、佐上のバーカ。ノロマー』
『はは、転んでやんのー』
『バーカ、ブース』
通りすがりに悪口を言って走り去って行く数人の男子たち。アスファルトに打ちつけた膝がジンジンする。
『バカって言うほうが、バカなんだよ……っ!』
『なんだとー? 佐上ブウのくせに、生意気だぞ』
『うるさいっ!』
心を痛めながらも、強がって、意地を張った。
負けたくなくて、必死に言い返した。
クラスで一番身体が大きくて、縦にも横にも大きいジャイアンみたいな男の子。
その男の子の顔には生傷が耐えなくて、イタズラッ子であることを主張している。
顔もなんとなくガキ大将っぽくて、女子から密かに恐れられていた。
『そのへんにしとけよー。たかがドッジボールで当てられたくらいで、ひがんじゃダメだって』
『うっせー、シンタローは黙ってろ』
『女の子には優しくしろよ』
『はぁ? なに言ってんだよ。シンタローはバカだな。佐上ブウなんかに優しくする必要なーし』
遠くのほうでそんなやり取りが交わされているのを、わたしは歯を食いしばりながら聞いていた。
涙がこぼれ落ちないように、必死に我慢してたんだ。
『ブウじゃないもん……っルウだもん……バカァ』
そう言った瞬間、こらえきれなくて涙がこぼれた。



