「はぁ」
またしてもため息を吐かれた。
きっともう、完全に呆れられている。
ううん、嫌われているんだ、わたしは。
慎太郎のまっすぐな瞳を見ていると、ひしひしとそれが伝わってくる。
「ご、ごめん……いろいろありがとう。じゃあ、塾だから帰るね」
慎太郎の手から本を奪って踵を返す。
心臓はバクバクしてるし、手汗がすごい。
慎太郎の顔は見られなかった。
図書室を出たわたしは一旦教室に戻ると、カバンを掴んで教室を飛び出した。
昇降口でローファーに履き替え駐輪場へと急ぐ。
グラウンドの方からは、サッカー部がボールを蹴る小気味いい音や、野球部が素振りをするスイング音が聞こえてくる。
ジリジリと照りつける太陽に思わず目を細めた。
気温が高くてものすごく暑い。
こんな日はクラクラとめまいがしそうになる。
そういえば慎太郎と仲良くなったのも、今日みたいに暑い日だったな。
快晴の空を見上げて、そんなことを思った。
慎太郎とわたしが出会ったのは小学一年生の時のこと。



