「あいつら、許せねーな」
「え? なんで?」
「なんでって……おまえ、気づいてないのかよ」
キョトンとしてみせると、慎太郎は呆れ顔で「はぁ」と大きなため息を吐いた。
大きくてまん丸い瞳、その目はどことなく冷たさを感じる。形のいい整った眉毛がいびつに歪められた。
「あいつら、おまえのスカートの中覗こうとしてたんだぞ」
「え……?」
スカートの中を覗こうとしてた……?
あ、だからあんなにニヤニヤしてたの?
そういえば、色のことも言ってたような……。
慎太郎が来てくれなかったら、確実に見られていた。
やだ、そんなことに気づかなかったなんて、恥ずかしすぎる。
「おまえさぁ、もうちょっと周りに気ぃ配れよ。あいつらのこと、変だと思わなかったのか?」
なぜだか責めるような目で睨まれた。
「お、思ったけど、急いでたし、どうしても読みたい本だったから……」
それにね、この機会を逃すと、もう読めないかもしれないから……。



