三日後。

「それでさー、この前おまえが言ってた女とはどうなったわけ?」
「はぁ? そんなもんとっくに終わったよ。次だ、次」
「はははっ、振られてやんの」
「ちっげーよ、こっちから振ったんだし」
「それより、この漫画おもしれーよ」

ど、どうしよう。

さっきから十分以上、本棚の隙間からチラチラ覗いては、頭を悩ませ続けている。

クラス章の色からして、あれは三年生の先輩たちだ。派手な色に染められた頭髪。無数についてるピアス。ゆるく着崩した制服。

明らかに不良っぽくて、怯んでしまう。

ここは図書室で、本来なら静かにしなきゃいけない場所。

それにも関わらず、本棚を背もたれにして輪になり、大きな声を張り上げる先輩たち。

音を出しながらスマホのゲームをしている人もいる。

わたし以外にも人はいるけど、誰も注意をしようとはしない。

司書さんでさえ、見て見ぬフリ。

他の人も聞こえないフリをして本を読んだり、静かにそっと立ち去ったり、迷惑そうにチラチラ見つめたり。

放課後の図書室。

わたしは過去に読みたいと思っていて、結局読めていなかった本を借りに来たんだけれど──。

その本はあろうことか、先輩たちが背もたれにしている本棚の一番上にあった。