「ふ……っ」
死ぬ……死……。
それでいい……それでいいんだ。
わたしがいなくなっても、悲しむ人は誰もいない。
これで……いいんだよ。
これで……楽になれる。
死を覚悟した時──
次第に意識がなくなって、最後には誰の声も聞こえなくなった。
それは一瞬だったのかもしれないし、数時間だったのかもしれない。
わたしはたしかに、いまだにそこにいた。けれど、目の前は真っ暗でなにも見えない。手で空を掴もうとしてみるけど、わたしの身体はそこに存在しないのか動かない。
あれほど強い衝撃を受けたにも関わらず、痛いところなんて一切なく、それどころか意識はずいぶんとはっきりしている。
時間の流れがピタッと止まったかのように、なんの音も聞こえず、まるで静止画の中にいるかのような感覚。
それは実体がなくて意識だけが存在している、夢の中によく似ていた。魂だけがふよふよ浮いて、この世ではない、どこかをさまよっている。
いったい、ここはどこなんだろう。