「菜月……今までごめんね……」
わたしのしてきたことを許してくれなくていい。
ただわたしが謝りたいから謝る。
もう誰のことも傷つけたくない。
「なに、言ってるの……っ! 勝手に靴箱にこんなメモ入れて……『ごめんね』って、たったひとこと……」
「あ、そ、それは……」
そういえば、思い出した。
わたしは事故に遭う直前、菜月の靴箱にそんなメモを入れたんだ。
化学実験室でのことや、これまでにしてきたことを、ずっと謝りたかった。
謝っても許してもらえないってわかってたけど、罪悪感に押しつぶされそうで……。
つい、菜月の靴箱にメモを入れた。
差出人の名前を書いてないのに、菜月はわたしからだとわかったんだね……。
「わかるに、決まってる、でしょ……! メモを見て琉羽を追いかけたら……井川くんをかばって、トラックにはねられるところを目撃して……あたし……あたしっ……」
菜月は顔を覆って泣き出した。
大粒の涙がとめどなくこぼれ落ちる。
「菜月……ごめんね。わたしは、大丈夫だから……」
「ううっ……う、ん。も、謝ら、ないで……」
「ううん、ごめんね……そして、ありがとう」
泣くほど心配してくれて。こうしてお見舞いにきてくれただけで十分だよ。
「おまえら、ふたりで泣きすぎだから」
遠くでやり取りを見守っていた慎太郎がクスクス笑う。
慎太郎からの告白は、なかったことになってしまったけれど、不思議と後悔はない。
なにかを変えるのは、これからの行動次第で決まる。
生きている限り、できないことなんてなにもないって学んだの。
わたしたちは、まだまだこれからなんだ。
一生懸命生きていればなにかが変わると信じて、今ある命を大切にしながら生きていこう。



