もしも明日があるのなら、君に好きだと伝えたかった。


「琉羽っ!」
「目が覚めたの?」

慌ただしくバタバタとやってきたのは白衣姿のお父さんと、身なりなんて構っていないほどボロボロにやつれたお母さん。

ふたりはわたしのそばにくると、そっと顔を覗き込んだ。

お母さんはハンカチで目を押さえて泣いている。

「あぁ、よかった……っ! 今夜がヤマだって聞いて……お母さん、倒れて……でも、目が覚めたって聞いて……飛び起きてきたの……」

お母さん……そんなにボロボロになってまでわたしのこと……。

お父さんも、うっすら目に涙を浮かべていた。

そしてこの場には、見知った顔がもうひとり。

「琉羽ちゃん、よかったわね」

師長さんだ。ここはお父さんが働く大学病院の救急救命センターのICU。

過去に一度きたことがあるから、なんとなく中の雰囲気に見覚えがあった。

簡単な診察が終わると、もう大丈夫だろうということで、たくさんついていた管がどんどん外されていった。

血圧を維持するためのいくつものシリンジポンプに、栄養を送るための点滴を管理する輸液ポンプ、排尿のための膀胱留置カテーテル、酸素マスクに、心電図モニター、脳波を確認するための装置。

幸い自発呼吸はあったから、人工呼吸器は接続されていなかった。

ベッドの上はルートだらけで、いかに自分が重症だったのかがよくわかった。

スタッフや色んな人がわたしの回復を喜んでくれて、生きているということを実感させられた。

わたしが生きたいと願っただけじゃない。

必死になって助けようとしてくれた人たちがここにいる。

この命を未来に繋ごうとしてくれた人たちがいる。

その人たちのためにも、改めてこの命を大切にしなきゃいけないんだ……。

決めたよ、もう迷わない。

わたしは前を向いて生きていく。

今ある命を大切にして、一生懸命生きてみたい。