「しん、たろ……?」
声にならない声で名前を呼ぶ。
もしかすると別の人なのかもしれない。
でも……。
「る、う……っ?」
懐かしい声が聞こえた。
わたしを見て大きく目を見開き、信じられないと言いたげな表情を浮かべている。
よかった……生きてる。
ちゃんと動いてる。
その事実がたまらなく嬉しい。
「よ、よか、った……目が、覚めたんだな……っ」
あの慎太郎が目を真っ赤にして泣いている。
いつでもどんな時も強くて、頼りになって、まっすぐだった慎太郎が泣いている。
「な、んで、泣いてる、の……」
泣かない……お願いだよ。
「なんでって……おまえ……俺をかばって事故に遭って……目の前で血まみれになる琉羽見て、俺はなにもできなかった……瀕死のおまえ見て……怯えて、この一週間……ずっと不安だったんだ……とにかく、目が覚めて……マジ、よかった……」
人目もはばからずに涙を流す慎太郎。
その涙は、とても綺麗だった。
「さっき……心拍数が下がって、今夜がヤマだろうって……それ聞いて、俺、気が気じゃなかった。とにかく、おじさん呼んで来るからっ」
慌ただしく出て行く慎太郎の後ろ姿を見つめながら、この状況をひとまず整理してみる。
まず、わたしは生きている。
どうして……?
なんで?
たしかに死んだはずなのに、どうなってるの。
実は死んでいなかった……とか?



