「やっ……いやぁぁぁぁぁぁ!!」

な、なんで……!

「慎太郎……っ!!」

慎太郎はトラックにひかれて、何メートルも先に弾き飛ばされた。

立ち上がることができなくて、その場にペタンと座り込んだまま動けない。

「な、なんで……」

ウソだ、どうして……こんなことに……。

これは悪い夢だ。

お願いだから、誰かウソだと言って。

「お、おい、誰か救急車!!」
「高校生がひかれたぞっ!!」
「大丈夫か!」

慎太郎の周りをたくさんの人が取り囲んでいる。

「し、慎太郎……っ」

這うようにして慎太郎の元へ向かう。辺りは騒然としていた。

慎太郎……お願いだから、無事でいて……。

震える身体で地面を這いながら進むと、人の隙間から地面に伏せる慎太郎の足が見えてきた。

辺りには血の海が広がっていて、事故の凄まじさを物語っている。

やだ、嫌だ……っ。

「おい、きみ! 大丈夫か? おい!」
「ダ、ダメだ、脈がない」

救命しようとしてくれていた人が青ざめる。

ウソだ……。

こんなの、なにかの悪い冗談に決まってる。信じられるわけがない。

ウソだ……ウソだ……ウソだ……ウソだっっ!!

全身が痛い。

慎太郎の無事だけを願って、そばまで近づいた。