「し、慎太郎……慎太郎はどこ?」

キョロキョロ辺りを見回してみたけど、そこに姿はない。

落ち着け、落ち着くんだ。

まだそうだと決まったわけじゃない。

過去とは変わってるんだから、そんなはずはない。

ふと時計に目をやると、十五時四十分を指していた。たしかあの日は……。

ダメだ、時間まではっきりと思い出せない。

思い出そうとすると、それを拒否するかのようにひどく頭が痛む。

「こ、浩介くん! 慎太郎知らない?」

女子といる浩介くんの姿を見かけて駆け寄る。

「どうしたんだよ、そんなに慌てて」
「う、うん、はぁはぁ……ちょっとね」

膝に手をつき、息も絶え絶えに言うわたしの、浩介くんは目を丸くする。

「大丈夫か?」
「う、ん。それより……慎太郎は?」
「慎太郎なら、佐上さんが走り去ったあとすぐに帰ったけど……てっきり一緒なのかと思ってたよ」
「か、帰った……? はぁはぁ」

ゾクリと身の毛がよだつ。

予感が確信に変わった瞬間だった。

「し、慎太郎が危ない……っ!」
「え? は?」
「い、行かなきゃ!」

こうしてる間にも、時間は過ぎていく。

わたしは戸惑う浩介くんを無視して再び全速力で駆け出した。