「その髪型もメイクも、やめなさいって言わなかった? 制服だって、きちんと着なさい。あなたがそんな格好で近所を歩いてると、お母さんがいろいろ言われるのよ。どうして親の言うことが聞けないの? なんでそんなふうになっちゃったの? どこでまちがえちゃったのかしら……」

塾に行かなかったことだけではなく、今度は外見についてのお説教が始まった。外見のことが終わると、今度は内面。

それを言われるのが、なによりもツラい。まるでわたしがダメな子だと言われているようで、苦しかった。

でもわたしは意地でもこの外見を変えるつもりはない。それは多分、これがわたしにできる唯一の小さな抵抗だから。

「聞いてるの? いつもいつも人の話を聞かないで、好き勝手ばっかりしてるんだから。これ以上親に迷惑かけないで、しっかりしなさい」

お母さんは非の打ち所がないほどなんでも完璧にこなす。身なりも家事も近所付き合いも、子育てだって、決して手を抜いたりはしない。

完璧な母親であり完璧な妻でもある、わたしのお母さん。

鈍くさくてなにをやってもダメなわたしを見ると、お母さんが口うるさくなるのも当然なのかもしれない。