事故に遭うのは、本当にわたしだったんだろうか……。
その瞬間、頭の中に映像がフラッシュバックした。
交差点に向かって駆け出す後ろ姿。
わたしは必死に手を伸ばして、引きとめようとしている。
ちが、う……わたしじゃ、ない……?
割れるように頭が痛くなって、その場にうずくまる。
まだはっきりとは思い出せないけれど、ここでこうしちゃいられない。
立ち上がるとクラクラとめまいがした。
足がもつれそうになりながら、前だけを見て足を動かす。
「あ、おい、佐上!」
先生の声も聞かずに駆け出す。
昇降口へ戻ってみたけど、そこにはさっきまでの人だかりはなくなっていた。
「は、はぁはぁ……」
全力疾走したせいで呼吸が荒くなり、心臓もやけにバクバク鳴っている。



