「琉羽、大丈夫? 真っ青だよ?」
「えっ?」
目の前には心配そうに眉を下げる菜月の顔があった。
ここ数日、様子がおかしいわたしを心配して、毎日のようにそんな言葉をかけてくれる。
「大丈夫だよ、最近ちょっと疲れてるだけだからっ!」
「そう? なにかあるなら言ってね? 相談に乗るから」
「あり、がとう」
でもね、こんなこと、言えない。
わたしが死んでしまう運命だってことを、どう言えっていうの。
そもそも、言ったところで信じてくれるわけもないし、頭がおかしいと思われて終わりだよ。
わたしが死んだら、菜月は泣いてくれるのかな。
傷つけてしまうことになるのかな。
だったら、仲良くしないほうがよかった……?
今になってそんなふうに思ってしまう。
病気で死んでしまう人の気持ちが痛いほどよくわかった。
死んでもいいなんて思っていた以前の自分が、情けなくて恥ずかしい。
生きたくても、生きられない人もいるのに……。
死んで逃げようとするなんて……最低だ。
その時のわたしは子どもすぎて、死ぬということを本当の意味で理解していなかった。
今ある命がどれほど大切なのか、身に染みてよくわかる。



