もしも明日があるのなら、君に好きだと伝えたかった。


「俺の知ってる奴?」
「そ、そんなの……」

関係ないって言おうとしてやめた。

慎太郎がとても傷ついたような表情を浮かべていたから。

握られた手首が熱を持ったように熱い。

そこからわたしの気持ちがバレるんじゃないかとヒヤヒヤしてしまうほどに。

「だ、誰だって、いいでしょ……」
「よくない。そいつより、俺のほうが何倍もいい男だって証明する」
「な、に、言ってんの……迷惑だよ」
「だったら、なんでそんな泣きそうな顔してるんだよ?」
「し、してないっ……きゃあ」

グイッと腕を引っ張られた。

頭と背中に回された手のひらに、強くギュッと抱きしめられる。

「な、なにすんの……」
「俺のことが好きだって、顔に書いてある」
「……っ」
「バレバレ……なんだよ」
「ち、がう……」

強く否定したいのにできないのは、言葉でいくら言っても本心はちがうからなのかな。

「俺は、好きだよ」
「もう……やめ、て。離して……」

涙が頬を伝う。

胸の奥が押しつぶされたように痛くて、これ以上ウソを重ねられそうにない。

こんなに好きなのに、伝えることが許されないなんて……残酷すぎる。

一ヶ月後、一年後、十年後、わたしはこの世にいない。

それがこんなにもツラいなんて思ったのは初めてだ。

死にたくない、生きたいよ。

でも、それは許されないことだから……。

わたしは黙って自分の運命を受け入れるしかない。

慎太郎の背中に回しかけた腕を、ゆっくりと下へおろした。