あっという間に夏休みが終わって迎えた新学期。

日を追うごとに、気分が沈んでいってるような気がする。

ボーッと考え込むことも増えた。

あと一週間……。

「はぁ、ほんっとうっざー! あんなことしといて、よく平気で学校に来られるよね!」

教室の一番前の席に座る優里が、わざとらしくこっちを睨みつけてくる。

あんなこととは……夏休み前に起こったローファー切り裂き事件のことだ。

二学期が始まってからも、毎日のようにネチネチと言われて、次第に否定する気もなくなってきた。

「顔も見たくないんですけどっ!」
「そ、そうだよね。優里ちゃん、かわいそう」
「うんうん、ツラいよね」
「わかってくれるのー? さっすがー!」
「と、当然だよぉ!」

夏休み明けから優里はさらに派手になり、髪の毛も金髪になった。

かわいいというよりも、派手すぎて怖いレベル。

他の女子たちもそんな優里を刺激しないように気を遣っているのがよくわかる。

「美鈴は今日も来ないしさぁ、ほーんとつまんない。わざわざこのあたしが連絡してやってんのに、返事もないんだよ? ありえないしっ」

二学期に入ってからすぐに行われた席替えで、わたしは廊下側の一番うしろ、優里は窓際の一番前、菜月は真ん中の列の一番うしろという配置になった。

美鈴の席は優里の隣だけど、夏休み前から休み続けている美鈴は、二学期になっても登校してこなかった。

美鈴が来なくてつまらないと言ってる優里は、本気で心配しているわけじゃなさそう。

友達は利用するものだって言いきってるくらいだし、それ以上でもそれ以下でもない。

ひとりではさすがに行動を起こせないのか、なにかされたりといったことはないけれど。

強いて言うなら睨んできたり、これみよがしに悪口を言われるくらいだ。

でも、そんなことは大して気にならない。

あれだけビクビクしていたのがウソみたいに、どうでもよくなってしまった。