もしも明日があるのなら、君に好きだと伝えたかった。


「あ、ねぇねぇ、このあと本屋さん巡りでもする?」

菜月は話題を変えて楽しそうに笑った。

わたしが黙り込んだのを見て気を遣ってくれたんだ。

「そうだね」
「わーい、琉羽とお初の本屋さん巡りだぁ! 楽しみー!」

こんなにいい子なのに……慎太郎はバカだよ。

ジワッと涙が浮かんで、わたしはそれを隠すようにパクパクとパフェを頬張った。

パフェを食べ終えてお店を出ると、入道雲がかかる真夏の空にはギラギラとした太陽が浮かんでいた。

涼んだばかりだというのに、少し歩いただけで汗が出てくる。

菜月は終始テンションが高くて、わたしはそんな菜月にうまく笑顔が返せずにいた。

駅の隣の本屋さんに着くと、わたしたちとすれ違いざまに中から人が出てきた。

うつむき気味に歩く女子高生くらいの女の子。ヨタヨタとした足取りで、ガリガリに痩せている。

その時肩と肩がぶつかり、わたしは軽く頭を下げる。

「す、すみません」
「ちっ」

お互い様だと思う。

だけど、舌打ちされた挙句、思いっきり鋭い目で睨まれた。

身なりなんて気にしないボサボサの前髪で顔が隠れていたから、気づくのが遅れたけど……。

「み、美鈴……?」
「人の名前を気安く呼ぶんじゃねーよ!」
「ご、ごめん……」

とっさに謝ってしまった。

だけど、これが本当にあの美鈴なの?優里を見習ってオシャレにしてたのに、スッピンだし、目の下のクマがすごい。

顔色も悪くて、どこか不健康にも見える。夏休み前に比べると、まるで別人みたいだ。

「仲良しこよしごっこなんかしやがって……うぜーんだよっ!」

美鈴はわたしと菜月を交互に睨んだあと、そう吐き捨てて背を向ける。

「な、なんだか、やばい雰囲気だったね」

菜月も同じことを思ったらしく、美鈴の後ろ姿を見ながら困惑していた。

「う、うん」

なんだか病的というか、どことなく雰囲気が怖いというか。

なにをするかわからない恐怖を秘めたような顔つきだった。