「なんだか元気ないね。夏バテ?」
スプーンで生クリームを掬い口へと運ぶ菜月。
今日もサラサラのポニーテールがかわいく揺れている。
「琉羽?」
「あ、ううん、夏バテじゃないよ」
「じゃあ、悩みごと?」
「まぁ、そんな感じかな」
「ズバリ、井川くんとなにかあったでしょ?」
「えっ!?」
目の前の菜月は確信を持つような笑みを浮かべていて、わたしはさらにあたふたしてしまう。
「そそ、そんなわけないじゃん!」
慎太郎の名前が出ただけで、一瞬で身体中の血液が沸騰したように熱くなる。
「ほんとかなー?」
「うっ……」
告白されたなんて、慎太郎のことを好きかもしれない菜月には言えない。
「井川くんって、モテるよね。実はあたしも、中学の時に告白したことがあるんだぁ」
「えっ?」
えへへっとかわいく下を出して笑う菜月。
「あ、でもね、振られてる。小さい頃からずっと片想いしてる相手がいるからごめんって」
「ウ、ウソ……」
おかしいよ、慎太郎は。
こんなにかわいい子を振るなんて。
菜月は今は吹っ切れているのか、あっけらかんとして話してくれたけれど。
もしかすると、わたしのため……?
「それが誰なのかはすぐにわかった。井川くんって、わかりやすいんだもん」
菜月はクスクスと笑ってるけど、その笑顔はなんだか寂しげだ。
「あたしはふたりがうまくいけばいいなぁと思ってるから、応援してる」
「菜月……」
完璧に気づいてる。
慎太郎の好きな人がわたしだということに。
どう言っていいかわからずに、チョコパフェをスプーンで掬って口に入れた。
ほろ苦いビターなチョコと、ほのかに甘い生クリームが絶妙にマッチしていてとても美味しい。
慎太郎のことを考えると、夜も眠れないほどドキドキして、告白された時も……嬉しいって、思ってしまった。
でも、だけど、わたしの期限はあと一ヶ月。一ヶ月後には、死んでしまうんだ。



