あれから一週間。

なんだかぼんやりしてしまっている。

「よっ、なにやってんだ?」

夏期講習の帰り道、自転車を漕ぐ気になれなくて押して歩いていたわたしの肩を、誰かがポンと叩いた。

振り返るとそこには、部活帰りだろうか。

スポーツバッグを斜めにかけて、汗だくになっている慎太郎の姿があった。

「夏期講習の帰りだよ」
「ふーん、なんでチャリ押してんの?」
「なんだか、漕ぐ気になれなくて」
「はは、なんだそれ」

オレンジ色に染まる帰り道。

慎太郎の横顔が優しく微笑む。

慎太郎が隣にいるというだけで、ドキドキして落ち着かない。

「俺のツブヤイター見てる?」
「え、あ、たまに……でも、くだらないことしかつぶやいてないでしょ?」
「は? くだらなくねーし。つーか、見てんなら反応しろよ。コメント残すとか、連絡寄こすとかさ。この一週間、無駄に過ごしてたのかよ?」

なぜだか膨れっ面の慎太郎は、明らかにスネているのがわかる。

「そういうわけじゃないけど……っていうか、ひとりごとみたいなのにコメントとかいらないでしょ。実際、誰もコメントしてないじゃん」
「なんだよー、冷たい奴だな。寂しいっつってんのに……」
「え」

そ、それって……。

「ま、いーや。今から時間ある?」
「今から……?」
「腹減ったし、ファミレス寄って帰ろうぜ」

ちょうど前を通りかかったその時、慎太郎が顎でクイッとファミレスを指した。

「時間はあるけどお金持ってないから、ドリンクバーしか付き合えないよ? それでもいいなら」
「バーカ、俺が誘ってんだからおまえはそんなこと心配しなくていいんだよ。ほら、行くぞ」

そう言って慎太郎はわたしの自転車を奪うと、少し離れたところにある駐輪場に停めに行く。

わたしは赤くなりながらそんな慎太郎の姿を見つめていた。