もしも明日があるのなら、君に好きだと伝えたかった。


──バンッ

背後から靴箱を閉める音がした。
大きな音にビックリして、思わずそこに視線を向ける。そこにはバスケ部の男子の集団がいた。
「あー、腹減ったー」
「どっか寄ってく?」
「いいね、慎太郎(しんたろう)も行くべ?」
「あー、わり。俺はやめとくわ」
「じゃあな!」

慌ただしく靴に履き替えて帰って行く男子たち。慎太郎……。その名前を聞いただけで、胸がキュッと締めつけられる。

彼は集団の中でもひときわ背が高くて目立つ、学年一のイケメン男子。

後ろの襟足部分の髪を軽く刈り上げたソフトツーブロックの特徴的な髪型は、彼のトレードマークで、とてもよく似合っている。

トップの髪がサラサラと揺れて、前髪は汗で額にくっつき、凛々しい眉毛が覗いていた。汗を弾くほど綺麗なツヤツヤのお肌。

力強くてまっすぐな瞳にはブレない芯が一本通っていて、見つめられるとドキリとしてしまう。

彼がわたしの横を通り過ぎた時──。

やば。思わず、目が……合っちゃった。

向こうもわたしを見て目を見開き、表情をこわばらせる。

薄くて色気のあるその唇に、力が入ったのがわかった。

どれくらいそうしていたんだろう。
きっと、ほんの一瞬だったはず。
でも、とてつもなく長い時間のように思えた。

透き通るような澄んだ瞳。透明感あふれるオーラ。どこかやんちゃっぽいけど、根は真面目でクールなイメージ。

「おーい、慎太郎! なに突っ立ってんだよ。行くぞ」
「あ、おう」

遠くから友達に呼ばれ、彼は視線をあちこちに巡らせたあと、バツが悪そうにわたしからスッと顔を背ける。

そして、駆け足で行ってしまった。

彼を前にして、息ができなくなるくらい動揺しているわたし。

心臓の音がすごくうるさくて、どうにかなっちゃいそうだ。それでもなんとか震える足を動かして、学校をあとにした。