もしも明日があるのなら、君に好きだと伝えたかった。


「帰ろっか……」
「そうだな」

そしてバス停へ移動すると、ちょうどバスが停車していたので、慌てて乗り込む。するとすぐにバスは動き出した。

「じゃあな!」
「あ、うん。バイバイ」

最寄りのバス停からうちまではすぐそこだったので、バスを降りたところで慎太郎が手を振った。

つられるようにして慎太郎に手を振り返す。

とうとう家に着いちゃった……。

はぁ、どうしよう。悩んで立ち止まっていても、無情に時間はすぎていく。

時刻は二十一時五十分。

こんなに遅くなるのは初めてで、どうすればいいのかと途方に暮れる。

門の外からチラチラと中の様子をうかがうわたしは明らかに不審者だ。

はぁとため息を吐いた時。

「なにをやっているんだ?」

背後から突然声をかけられた。

「!?」

ビックリして勢いよく振り返ったわたしの目に、厳格なお父さんの姿が映った。

「こんなに遅い時間まで、なにをしてたんだ?」
「え……いや、あのっ……」

戸惑いと焦りで言い訳が浮かばない。

お母さんならまだしも、お父さんに見つかるなんて。

「毎日、こんな時間まで遊んでるのか?」

お父さんからの質問に冷や汗が背中を伝う。

どんどん質問の幅が狭められて、最後には決めつけるような言い方。

「なにをやってるんだ、まったく」

お母さんと同じだ。

わたしがなにを言ったところで聞いてくれない。

わかってくれない。

お父さんもお母さんと一緒で、最初から疑うような目でわたしを見てる。

なにを言っても無駄なんだ。