「もしも琉羽が事故に遭って死ぬようなことがあったら、俺、きっと立ち直れないよ」
やけに静かで冷静な声。
ふと顔を上げると、眉を下げた悲しげな顔がそこにあった。
「な、なに……言ってんの」
そんな顔で……そんなこと言わないでよ。
「も、もしもの話だからね?」
「わかってるって、もしもの話な」
「…………」
こんなこと聞かなきゃよかった。
「けどさ、琉羽が危険な目に遭いそうな時は、なんとしてでも俺が全力で守ってみせるから」
「…………」
慎太郎のまっすぐさと、昔から変わらない強さ。
慎太郎の言葉に、激しく心が揺さぶられる。
「な、に、言ってんの。ほんと、意味わかんない。守ってもらわなくても、大丈夫だし」
「強がるなってー。小学生の時、約束しただろ? 『なんかあったら、俺が守ってやるから』って」
「そ、そんなの忘れちゃったよ」
ううん、ほんとは覚えてる。
忘れるわけない。だって、すごく嬉しかったんだもん。
「それに、小学生の時のことでしょ? いつまでそんなこと言ってんの」
「俺の中では、現在進行系なんだけど……そっか、琉羽は忘れちゃったか」
「……っ」
とても寂しそうな顔で笑うから、なんだかものすごく胸が痛くて。慎太郎にそんな顔をさせたかったわけじゃない。



