もしも明日があるのなら、君に好きだと伝えたかった。


「長い人生の中で、生きる意味を見つけるために生きてくんじゃねーの?」

生きる意味を見つけるために……生きていく?

「悩んで、苦しんで、もがいて、あがいて、ああでもない、こうでもないって迷ったり、落ち込んだり、まちがいに気づいたり、後悔したり、どん底を見たり、誰かのために必死になったり、がむしゃらに生きて、そこでようやくわかるもんなんじゃねーのかなって思うんだ。だからさ、俺らの年齢でそれを見つけるのは至難の技っつーか……人間としてまだまだ半人前だしな」

ズシリと重みのある言葉が胸に響いた。

こんなこと、わたしの中ではひとつも浮かばない考えだ。

だってわたしは、悩むことから逃げて、自分が傷ついたり苦しむことのないように、あがくことも、もがくことも避けて生きてきたんだから。

「なんのために生きてんのかって聞かれたらわかんねーけど、俺はたとえ嫌なことがあったとしても、毎日を一生懸命生きたいって思ってる。そしたら悔いは残らないし、一生懸命生きた積み重ねが、その先の未来に繋がって、結果的に生きる意味になっていくんじゃねーのかな。今はわからなくても、十年、二十年後にわかったらいいんじゃん?」

あまりにもまっすぐな慎太郎の言葉。

わたしよりもはるかに大人で、強くて、物事を広いところから見てるんだなって尊敬してしまう。

でもだからこそ、どんな時でも一生懸命な慎太郎の姿勢に納得してしまった。

「はは、キザなこと言いすぎた? はずっ」

「ううん、そんなことないよっ。慎太郎は、すごいね」

わたしは全然ダメだ。

慎太郎のように胸を張って一生懸命生きてきたとは言えない。

ううん、これまでのわたしは一生懸命生きたいとも思わなかった。

現実から逃げて、隠れて、傷つかないように自分を守ることに必死だった。

そんなわたしに、生きてる意味なんて見つかるわけがなかったんだ。