「聞いてるの? 今すぐ帰ってらっしゃい!」
「もう、いい加減にしてよ……っ! うんざりなんだよっ! うっとおしいの!」
こらえていた怒りが言葉になって発せられた。
握りしめた拳が小さく震える。
「な、なんなの? その口の利き方は! どうしてそんな子になっちゃったの……っ。お兄ちゃんは、そんなこと言わなかったわよ」
「うるさいっ……!」
イライラして勢いで通話終了ボタンを押した。
なんでもかんでも、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん……。
そんなにお兄ちゃんがいいなら、お兄ちゃんのことだけ考えてればいいのに。
あーもう……!
ほんと、なんなの。
どうせわたしは、お母さんにとって出来損ないの恥ずかしい娘で、親戚や近所の人に自慢もできなくて、そんなわたしはきっと……いらない子、なんだろう。
だったら、わたしの存在価値っていったいナニ?