わたし、三ヶ月前に戻って来ちゃったんだ……?
戸惑いと困惑と、そして、動揺。
声は言った。もう一度やり直して、自分自身を見つめ直してみろ、と。
これからいったい、どうすればいいの?
やり直したとして、どうなるの?
そんなことをして、どんな意味があるんだろう。
三ヶ月前に戻って来たって、きっとなにも変わらない。
過ぎたはずの三ヶ月をやり直すのかと思うと、気が重くて心が沈んでいく。これはなにかの陰謀なのかな。それとも、単なる嫌がらせ?
あの声の主は、神様かなにかだったの?なんでわたしにそんなことをさせたの?
ううん、これはきっと夢なんだ。
わたしは夢を見ているだけ。
そうだよ、じゃなきゃこんなことがあるはずがない。
小説の中じゃあるまいし。こんなありえもしない話が、わたしの身に起こるだなんて。
世の中に、そんなことが存在するはずがないよ。いや、実際にそうなんだとしても、すぐには現実を受け入れられない。
とりあえず、今はなにも考えたくなかった。
自分の席に行き、机の横にかかっていたカバンをつかむ。
その席は入学したばかりの頃の席で、廊下側から二列目の一番うしろだった。わたしの前が菜月の席であることは、さっき菜月が自分の席に行ってカバンを持ったのを見て確認済みだ。
なにもかもがわからないことだらけだけど、なんとなく見覚えがある教室の風景。
菜月の笑顔もあの時のままで、そこにはいつの日にか見た懐かしい光景が広がっていた。