神社の中はものすごい人であふれ返っていた。
入っていけるほどの隙間もないほどで、人の波に飲まれそうになる。
「し、慎太郎、待って」
さっきから人にぶつかってばかりで、慎太郎がどんどん遠くなっていく。
浩介くんと菜月の姿は埋もれてしまって、すでに見えない。
「なにやってんだよ、琉羽、ほら」
人の間からスッと伸びてきたのは、慎太郎の大きな手。
「わぁ」
勢いよく後ろから体当たりされて、わたしは倒れこむようにして慎太郎の腕を掴んだ。
「ご、ごめん」
「琉羽ちゃんは、そんなに俺と手が繋ぎたかったのかなー?」
「ち、ちがうよっ」
「はいはい」
「ほ、ほんとにちがうからっ!」
ムゥッと唇を尖らせながら言うと、隣で慎太郎がクスクス笑った。
なんだかまた子ども扱いされているみたい。
「そんなにムキになって否定すると、余計に怪しいぞ」
そう言いながらさり気なくわたしの手を握って歩き出す。
慎太郎の横顔は優しく笑っていて、まるで何事もないみたいにいつもと変わらない。
なんでこんなにサラッと、紳士みたいに手を繋ぐかな……。
恥ずかしげな素振りもないから、慎太郎にとってこれは、あれだ。
ただ人混みでわたしが迷子になりそうだから、人助けのつもり、ただそれだけ。
それ以外に理由なんてない。
それなのに……どうしてこんなにドキドキするの。
きっと、今あたしは真っ赤だ。



