「おーい、琉羽。なにボサッとしてんだよ。行くぞ」
黒のストライプ柄の浴衣に身を包んだ慎太郎が、わたしを振り返って手招きする。
どうやらぼんやりしていたらしく、すでに浩介くんと菜月は並んで歩き出していた。
「ご、ごめん」
そう言いながら駆け足で慎太郎の隣に並んだ。
「わ、見て。あの人めっちゃカッコいい」
「ほんとだ! イッケメーン!」
さっきから女の子たちの視線が全部慎太郎に向けられている。
やっぱり、モテるよね。
高校生になってからますます大人っぽくなって、見違えるほどカッコよくなったもん。
「なんだよ、そんなに見つめんなって。恥ずいだろ」
「慎太郎はモテるよねー、どこにいても目立つしさ」
「はぁ? そんなことねーわ」
「いやいや、そんなことあるって。中学の時だって、色んな子から告白されてたじゃん」
「なに? 気になんの?」
うっ、ニヤッとしながら見ないでほしい。気まずい、恥ずかしい。でも……。
「す、少しだけ……」
わー、わたしったら、なに言ってんの。
「ふはっ、安心しろよ。モテるってのはただのステータスで、べつに嬉しくもなんともねーよ」
「ふーん……へぇ、モテるのがステータス、ね……」
さすがモテる人の言うことはちがう。そんなに堂々と自信たっぷりに言っちゃってさ。
「なんだよ、冗談だろ。不機嫌になんなよ、ははっ」
「な、なってない!」
慎太郎は余裕たっぷりで、わたしばっかりがムキになっているみたい。
子ども扱いされてるようで、ちょっといじけてしまいたくなる。
「どうせわたしは、慎太郎みたいにモテませんよーだ……」
「まだ不機嫌なの? いい加減機嫌直せって、わたあめ買ってやるからさ」
「わ、わたあめ!」
自分でもわかるくらいに口元がゆるんでしまった。
すると「ガキだな」と慎太郎にクスクス笑われた。



