「おーい、なっちゃーん!」
遠くのほうから、浩介くんと慎太郎の歩いてきた。
浩介くんはブンブン手を振りながら、とびっきりのスマイルを浮かべている。
「相変わらずだね、浩介くんってば」
「恥ずかしいからやめてほしい。でも、ふたりとも浴衣だぁ!」
菜月が嬉しそうに声を弾ませた。わ、慎太郎の浴衣姿とか初めてだよ。
扇子で顔を仰ぎながら、こっちに向かってきている。
「佐上さーん! お待たせー!」
「もう大きな声出さないで。みんな見てるよ」
菜月がそんな浩介くんをたしなめる。
「はは、なっちゃん浴衣だー! かわいいね! 見て見て、俺もー!」
浩介くんはニコニコしながらくるりとその場で回ってみせる。
ダークグレーの浴衣の裾がヒラリと舞った。
なんというか、自由な人だな、ほんと。
でも浩介くんは体格がいいから、浴衣がよく似合ってる。
「はいはい、回らなくていいから」
苦笑いを浮かべる菜月の横で、慎太郎の姿をチラリと見やる。
「よう」
「あ、うん」
慎太郎と目が合い、わたしはなんとなく気まずくて目を伏せた。
「なんで目そらすんだよ」
「いや、あの……」
慎太郎の浴衣姿がまぶしすぎて……とはさすがに言えないので、言葉に詰まる。
それにしても、今日の慎太郎は本当にカッコいい。
浴衣の隙間から覗く鎖骨とか、出っ張った喉仏とか、キリッとした横顔だって。
ツーブロックの髪型が浴衣ととても似合っていて、ドキドキさせられる。



