それに比べてわたしは……。
ダメだ、今日はいつも以上にネガティブ思考になってる。
「なんかあったのか?」
「えっ?」
「そんな顔してる」
「な、なにもないよ。あるわけないじゃん」
どうしてこうも見透かされてしまうのか。
わたしって、そんなにわかりやすいのかな。
落ち込んでること、知られたくないよ。
だって、慎太郎には言えない。
なにもかもうまくいってて、悩みなんてないであろう慎太郎には。
わたしの気持ちなんて、わからないよ。
「ランニングの途中だったんでしょ? わたしのことは気にしなくていいから」
「あー、うん、まぁ、途中っちゃ途中だけど、もう帰るとこだったし」
「わ、わたしも、もう帰るから。じゃあね」
立ち上がって、その場を去ろうとする。今は慎太郎とまともに話せない。
「待てよ」
──グイッ
手首を掴まれて、引き止められた。
そして強引に慎太郎のほうを向かされる。
「な、なに?」
「俺、夜もこの辺走ってるんだ。毎日公園の中チェックする。だから、俺に会いたくなったらここにきて」
「え……」
なに、言ってんの。
「し、慎太郎に会いたくなるわけ、ないし」
意味がわからないよ。
「気が向いたらでいいから、とにかく来いよ」
「……っ」
なんなんだろう、本当に。
なんでそんなこと言うの?
わたしのことを心配してくれているのかな。
「じゃあな!」
慎太郎はそう言い残して、走り去ってしまった。
大きくてたくましい背中。
ブロンドの髪が左右に揺れている。
わたしは慎太郎の背中が見えなくなるまで、そこに立ち尽くしていた。



