湧き上がってくる感情と、今実際に起こっていることが繋がらなくて頭がおかしくなりそう。

菜月がわたしにこんなふうに笑いかけてくれることも、三ヶ月後の世界じゃありえないことだった。

「じゃあ、あたしはブックストアに行くね。バイバイ」
「え、あ……うん。バイ、バイ」

笑顔の菜月にぎこちなく手を振る。頬がピクピク引きつって、笑うことすらできなかった。

菜月が去った後に訪れた静寂が、リアルさをより引き立たせる。他にクラスメイトは誰も残ってなくて、とりあえず落ち着かなきゃと思い、近くにあった椅子を引いてストンと腰を下ろした。

落ち着け、落ち着いてよく考えてみよう。

いやいや、なにを考えるっていうの。

考えなくてもわかるでしょ。これが現実だってこと。
あの声が言っていたことは、本当だったってことが。
「あ、はは……」
頭がおかしくなっちゃったみたい。

だって、どう考えてもそれしか思い当たることはない。ほかに案なんて浮かばなかった。