もしも明日があるのなら、君に好きだと伝えたかった。


「こんなくだらないこと、俺の友達の佐上さんがするわけないから。行こ、佐上さん」
「え、あ……」

浩介くんのあとを追うようにして悔しそうに唇を噛みしめる優里の横を通り過ぎ、昇降口から外へ出る。

浩介くんの言葉が少しは優里の中に入って考え直すきっかけになればいいけど、どうだろう。

「浩介くん、ありがとう」
「いやいや、ぜーんぜん! 俺、元からあの人嫌いだったんだよ」
「え? なんで?」
「あいつ、なっちゃんのことイジメてただろ? イジメとかする奴、マジ最低」
「そ、それは……」

ドクンと鼓動が鳴った。

わたしもその加害者だった。後ろめたい気持ちがこみ上げてきて、息が苦しくなる。

浩介くんはこんなわたしのことを友達だと言ってくれたけど、わたしにはそんな資格なんてない。

ましてや、助けてもらうなんてもっての他だ。

だって、わたしも菜月を傷つけていた張本人なんだから。

「ご、ごめん、なさい。わたしも、菜月のこと……」
「でも、今は仲良しなんだろ?」
「え?」
「なっちゃん、佐上さんといる時、めっちゃかわいく笑ってた。俺、なっちゃんのあんな笑顔見たことないよ。だからよっぽど佐上さんのことが好きなんだなって」
「そ、それは……」

どうなんだろう。

菜月はわたしのこと、心の奥底では許せないと思っているのかもしれない。

それこそ、本人に聞いてみなきゃわからないけれど。

「俺、なっちゃんのことずっと見てきたからわかるんだ。なっちゃんは自分のことあんま話してくんないけど、佐上さんといる時だけはちがうよ」
「そんなこと」
「そうだよ、琉羽」

否定しようとすると、背後から菜月の声がした。

わたしたちのやり取りを聞いていたんだろう、少し気まずそうに微笑む菜月がそこにいた。

「なっちゃーん! 俺の勇姿、ちゃんと見てたー?」

さっきまでの黒いオーラなんて微塵も感じさせないほどの優しい笑顔で、浩介くんは嬉しそうに片手をブンブン振っている。

菜月はそれを「はいはい」と軽くかわしてから、真剣な眼差しでわたしを見つめる。