な、なに?どうしたの?

気になったけどクラスの子に話しかけても答えてもらえないだろう。

それに優里のことは気にしないことに決めたんだ。

わたしには関係ない。

そう思い、靴箱の中からそっとローファーを取り出し地面に置く。すると、横から鋭い視線を感じた。

「あんたでしょ?」

上履きを脱いでローファーに足を入れた時、優里の低い声が聞こえた。

「あんたがやったんでしょ?」

眉をつりあげ、目を血走らせながら優里がわたしに突っかかる。

明らかに怒っている。

ううん、切れていると表現したほうがいい。

「な、なんのこと?」

いきなりそんなことを言われても、今ここにやってきたばかりなんだけど。

「これ、あんたの仕業でしょ! そうとしか考えられないっ!」

優里はわたしの前にローファーを差し出した。

それにはひと目見ただけでもわかるほど、相当の恨みがこもっているとしか思えないようなほどの無数の切り傷がついている。

それも、カッターナイフで切り刻まれた傷だった。

「こんなの知らない、わたしじゃない」
「はぁ? とぼけんなよ! あんたしか考えらんないんだよ!」

バンッと大きな音がした。