「さーて、次はどんなことして遊ぼっかなぁ。美鈴がいないと実行できないし、早くこーい」

背筋が凍るようなことを鼻歌をうたいながらルンルン気分で話す優里の神経がわからない。

どこまでいっても優里とわかりあえる気がしないのは、すべてを他人任せにして自分の手を一切汚さないズルさというか、そういう部分があるから。

自分は一切悪くないと思っているし、クラスのみんなが自分の味方だと思っている。

大勢の中にこういう人も存在するのが世の中というもの。

話し合おうとする気力さえ残されていないわたしは、優里の存在をないものとして頭の隅に追いやった。

その日の放課後、今日は塾の日だったので帰り支度を整えてすぐに教室を出た。

昇降口に着いた時、なにやら靴箱の前に人だかりが。

「ひどいと思わない?」
「だよねだよね。ひどすぎるー!」
「なんでこんなことができるわけ?」
「誰がこんなこと……」

なんだろうと思いながら、恐る恐る近寄る。

すると人だかりの輪の中心に優里の姿があった。

それを取り囲むようにざわつくクラスの女子たち。

他のクラスからも騒ぎに乗じて野次馬が集まってきている。

どうやらその対象が優里のようだ。