「食わねーの?」
慎太郎がカツ丼を頬張りながら聞いてきた。
「た、食べる」
そう言って慌てて箸でご飯を掴んで口へと運んだ。
隣で慎太郎がクスッと笑って、なんとなく気恥ずかしい。
カツ丼を食べてる姿までもがカッコいいなんて、そんなのズルいよ。
っていうか、こうして並んでご飯を食べるのは小学生の時以来だ。
なんとなく隣にいる慎太郎を意識してしまう。
斜め上まで見上げないと慎太郎の顔が見えない。
ゆるく締められたネクタイと、開いたカッターシャツの上の隙間から、綺麗な鎖骨が覗いている。
身体中の骨格がいつの間にかすごく男らしくなった。
それに比べてわたしは、身長は伸びたけど胸の成長は芳しくて。
横から見ると膨らみはほとんどない。
どちらかというと幼児体型のわたしには、女子力というものが欠けている。
だからこそ髪の毛を巻いたり、うっすらメイクをすることでカバーしているんだ。
菜月は細いのに女の子らしい身体つきをしていて羨ましい。
そういえば、このふたりは過去ではどういう関係だったのかな。
親密だったっぽいし、小説の趣味も合いそうな気がする。
それになによりも、慎太郎と菜月はすごくお似合いだ。
身長のバランスもいいし、ふたりが並んでいるとマドンナと王子様みたい。
そんなことを考えると、なんとなくショックで落ち込んでしまう。



