「だからまだ当分は、小説の中の男子にキュンキュンしたいと思う」
「わたしも同感! ほんとキュンキュンするよね! そういえば、あの本読んだー?」
そう言いながら、話題は小説のほうへ。
本のタイトルを伝えると、菜月は目を輝かせ始めた。そしてマシンガンのように語り始める。
「あの本、本当に泣けたー。あたし、読んだあと悲しすぎてなかなか寝つけなかったんだよね。ここまで感情移入できる本に出会えたのは初めてだった。それにヒーローの男の子がすっごいカッコよかった! 主人公しか見えてませんって感じでさぁ」
「わかるー! あんな人が実際にいたら、即恋に落ちてるよ!」
本の中のヒーローで盛り上がるわたしたち。
誰にも気兼ねすることなく、なにも考えずに思ったことを感情のままに話すのはすごく楽しい。
「ラストはヒロインの女の子が交通事故で死んじゃって、すごく悲しかったなぁ」
寂しそうに笑う菜月。
たしかにラストは悲しかった。ふたりに幸せになってほしかった。



