もしも明日があるのなら、君に好きだと伝えたかった。


「なっちゃんはどれにするー? 俺、なんでも奢っちゃうよー!」

「あたし、お弁当があるから。行こ、琉羽」

「えー、どこ行くの? なっちゃん」

「空いてる席確保しに行かなきゃ。この時間は激戦区だからね」

学食の券売機には長蛇の列ができていて、これから混み合ってくる時間帯だ。

空いてる席がだんだんと少なくなって来ているので、わたしと菜月で席の確保に向かった。

「わー、窓際しか空いてないね」

窓際の日当たりがいい席は冬はポカポカして気持ち良さそうだけど、暑い夏には誰もが避けたくなるような席だ。

今日みたいな暑い日は特に。

学食の中は冷房が効いているとはいえ、これだけ人口密度が高かったら一瞬で冷気も逃げてしまう。

現にすでに少し汗ばんできた。

他に空いてる場所がなかったので、とりあえずは窓際の席に落ち着く。そこで菜月が大きくため息を吐いた。

「どうしたの?」
「あ、えっと。北沢くんのことだよ」

困ったように苦笑する菜月のポニーテールがサラリと肩から流れ落ちる。

女の子らしくて美人な菜月が言い寄られるのもわかる。

「ここだけの話、何度も告白されてるの。その度に断ってるんだけど、全然聞き入れてくれなくて」
「えっ? そうなの?」
「うん。あたしのタイプは、もっと落ち着きのある人っていうか。北沢くんって誰にでもニコニコして愛想いいし、誘われたら誰とだって遊びに行くんだよね。塾でだって常に女の子に囲まれてたし、誰にでも優しいからすぐに女の子に惚れられちゃうの」

菜月が列に並んでいる浩介くんをチラ見する。

つられるように、わたしもそこを見た。

浩介くんは後ろに並んでいる女子と話している。

会話の内容は聞こえないけど、楽しそうな雰囲気だけは伝わってきた。

「たしかに、彼氏にするなら浩介くんみたいな人は嫌だよね」

「あたしへの告白の時もヘラヘラしてるし、きっと本気じゃないんだと思う。ノリっていうか、気まぐれみたいなものだと思うんだよね。それにやっぱり、彼氏にするなら自分だけに優しい一途な人がいい」

菜月の言うことはすごくよくわかる。

浩介くんみたいな人が彼氏だったら、毎日不安で仕方ないよね。