もしも明日があるのなら、君に好きだと伝えたかった。


「けどさぁ、琉羽は自分のこと下に見すぎ。『わたしなんて』とか『わたしなんかが』とかって思う必要ないから。俺だって、普通の人間なんだからな?」

「そ、それは……だって」

つまり、わたしは、自分に自信がないんだ。

相手の顔色ばかりが気になって、こう言ったらどう思われるかなとか、印象悪くしちゃうかなとか、嫌われないかなとか。

自分が不利にならないかを頭の中でごちゃごちゃ考えて、結局なにも言えなくなる。

自分の発言に自信なんてないし、昔から自分に自信を持てたこともほとんどない。

自分を卑下してしまうのは、わたしがわたし自身を嫌いだからだ。

「慎太郎はわたしにとって、ヒーローみたいな存在だったから。ほら、昔からなにかと助けてくれたでしょ?」
「ヒーローね……琉羽は俺のことを美化しすぎ」
「そんなことないよ。実際に慎太郎は強いじゃん」
「ぷっ、俺が? 全然そんなことねーし」

そう言って笑う慎太郎の笑顔に影が落ちたように見えた。

それにどことなく元気がなくなってしまったような気もする。

いったい、どうしちゃったんだろう。

「中二の時は、悪かったな。俺、おまえが聞いてるって知らなくてひどいことを言ったと思う。怒って当然だよ」

「ううん。それはわたしも同じだよ。紛らわしいこと言ってごめんね」

「いや、俺の方がごめんっ」
「いやいや、だからわたしが」
「いやいやいや、俺の方が」

今まで胸の中にあったわだかまりが溶けてなくなっていく。

世界から色が消えたあの日、もう二度と慎太郎とこんなふうに話せる日は来ないと思っていた。

それなのにこんなふうに和解できる日が来るなんて幻を見ているみたい。

ガラガラと音を立てて崩れたはずの世界に色が戻ってくる。まぶしくて、明るくて、そして頼もしくて、温かい。

わたしにとって、慎太郎はとても大切な存在だったんだと改めて思わされた。

世界が色づくのはこんなにも簡単なことだったのに、過去のわたしは怯えて逃げることしかできなかった。

一歩踏み出す勇気がなかったの。

「琉羽、なにしてんのー! 早くー!」
「ごめーん、すぐ行くー!」

今までの距離がウソみたいに、弾ける笑顔でわたしを手招きする菜月。

その隣では浩介くんが慎太郎を呼んでいる。

そんな菜月の元に駆け寄り、わたしたち四人は学食へと向かった。