沙織に連絡するのも忘れて、どうやって家に帰ったのかも分からない。


気付いたら、ベッドに仰向けになっていた。



紙袋から、マグカップを出し、ヒヨコのクッキーを出す。


クッキーの袋には、紙が入っていた。





また、泣いた。



気持ち悪い声が出るくらい。

涙だけじゃなく、体中の水分がなくなるくらい。




先生は、私の気持ちに気付き初めていたらしい。


でも、チョコありがとう、と……。


俺を想って、作ってくれて嬉しいって。


大切な、輝かしい中学時代に、こんな俺を気にしてくれてありがとう、と。



それに……私が、先生に彼女がいると気付いて、付き合ってって言わなかった事が先生は、苦しかった。って……。


我慢強すぎる私が、心配だって。



我慢強いだけじゃないんだよ……。



勇気がなかっただけ……。



キッパリと、フられる

勇気がなかっただけ……。




先生は、彼女が居なかったらなぁー。ハハハ


なんて書いてくれたけど、その気持ちだけで、嬉しいよ。



分かってる。


それが、先生の本心じゃないことくらい。





先生は一度も「ごめんな」とは言わなかった。



何度も「ありがとう」と言った。





それだけで、私の恋心は報われた。








これからも、頼っていいぞって。

今までと変わらず、仲良くしよう。


そう言えちゃう先生は、やっぱり、かっこいいんだ。


そんな先生を、まだ好きでいても、いいですか……?