応援席に戻ると、沙織はニヤニヤしながら肘で私をつついた。


「なにあれ……見せつけ?」


なんて……。


でも、担任に聞かれ紙を見せたのに、私の手を取り、走ってくれた事が何より嬉しかった……。


私の事、見ててくれたんだ……。



先生の瞳に私は、写れたんだ……。




二度目の手

やっぱり先生の手は

忘れられそうにありません……。



それから、クラスメイトを応援し、お弁当を食べ、二人三脚の番になった。


「杏!!走るよ」


サラッと言う沙織に、笑顔を返した。




《位置について、よーい、ドン!!》


スタート時点で私たちのクラスは三位。


カーブで、一組を追い抜いたまま、二番走者にバトンを渡す。


「頑張れ……頑張れ」


いつの間にか、沙織の肩を抱く腕に力がこもっていた。


「……よし、行くよ!!いち、に!いち、に!」


バトンをもらい、私と沙織は、声を掛け合いながら、机を目指す。


何人か抜き、マシュマロへ……。


トレイから上げた顔を見て、お互い笑いながら、ゴールを目指した。



粉の白さが視界を邪魔する。





「はいっ!!」



沙織がバトンを渡す。



なんと、私たちは一位。



足をほどき、大縄飛びをするために中央に集まる。